ブランディングを学ぶ
ブランディングとは?初めてでもわかりやすい!ブランディング基礎講座
ブランディングと聞くと、どのようなイメージをもちますか?
「盛って良く見せること」「高級品に必要なもの」「意識の高い人がすること」
そんな印象をもっている人も多いのではないでしょうか。
”ブランディングが大事!”ということは何となく理解しているけれど、具体的に何をすればいいかわからないというのは、よく受けるご相談の1つ。そこで今回は、ブランディングとは一体何なのかについて、徹底解説します。
ブランディングを理解するにあたっては、まずマーケティングを知る必要があります。
こちらの「マーケティング基礎講座シリーズ」の記事にて解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
この記事の最後に、関連するコラムについても載せています。併せてご確認ください。
目次
ブランディングとは、心の中に価値をつくること
マーケティングを理解したところで、ブランディングとは、一体何なのでしょうか。サントリー(株)(現サントリー HD)に勤めていたときのエピソードとともにご説明しますね。
私はサントリーに入社して4年目で、念願のブランドマネージャーという職種に就きました。新入社員の頃からずっと、メーカーに入ったからには、ものづくりに携わりたいという思いがあったんです。だから商品開発部への異動が決まったときは、「やっと商品がつくれる!」と意気込んでいました。
そんな矢先、尊敬する上司から言われたのがこんな言葉でした。
「私たちはモノをつくっているのではなくて、お客様の心の中にある価値をつくっているのよ」
それは私にとって、衝撃的な一言。サントリーはメーカーなのに、「モノではなく、価値をつくるってどういうこと?!」と一瞬戸惑ったのを覚えています。でもその意味を理解してからは、ブランディングの奥深さに魅了され、惹き込まれていきました。
ブランディングとは、「ターゲットの心に、良いイメージや”好き”という気持ちを生んで育んでいく活動」のこと。上司の言葉の通り、まさにお客様の心の中に価値をつくっていくということなんです。
例えば、恋愛に置き換えてみると、「仲間思いで優しい人だな」「クリエイティブでかっこいい!」「仕事への熱い情熱があって素敵」など、好きな人を思い浮かべたときにに出てくる”プラスの言葉”がありますよね。
同じように、商品やサービスに対しても、お客様は何かしらのイメージを抱いています。それが強くなればなるほど、ブランドが心の中で育っていき、強固なブランドイメージが醸成されるのです。
“価値”というものは目には見えません。だからこそ、「仲間思いで優しい」「クリエイティブでセンスがある」など、”言葉”で定義することも大切です。
ブランディングはなぜ必要?ブランディングによって叶えられることとは
ではなぜ、ブランディングが必要なのでしょうか。
今は、モノもサービスも世の中に溢れている時代。あらゆる商品が市場に出回っている現代においては、一体何を基準に選べばいいのか、お客様自身もわからず困っています。
そんな混沌とした状況において、”際立った存在”が目に入ってきたとしたら……お客様がそれを選ぶ可能性は格段に高まります。無数に存在する商品・サービスの中で、”その人にとって唯一無二の特別な存在”にしていく手段が、ブランディングなんです。
では、ブランディングを通じてどんなことが叶えられるのか、恋愛に置き換えて考えてみましょう。
最初の、相手に”知ってもらう”というステップにおいて、通常は「初めまして」と声をかけるなど、自分から行動する必要がありますよね。
でも、もし「バンドをやっている」「デザインが得意」といった自身の魅力がすでに周囲に伝わっていれば、相手の方から「あの人素敵!」と近寄ってきてくれます。
そして最後は、「付き合いましょう」と思いを伝える告白。このときも、「最近、彼女が欲しいんだよね」という言葉を口にしただけで、今がチャンス!とばかりに、「私と付き合ってください」と相手から告白されるようになります。
ビジネスにおいては、「この商品・サービスを買いませんか?」と自分からオファーしなくても、「欲しいです!」とお客様自ら購入してくれるようになるということ。
こんな風に、ベクトルの方向が真逆に変わっていきます。
つまりブランディングによって、”相手の方から興味をもち、歩み寄ってくれる”という状態が実現するようになるんです。
ブランディングによって得られる、最大のメリットとは?
ブランディングによってベクトルの方向が変わり、お客様から選ばれる存在になると、大きく変化することがあります。
それは、”競争が無くなる”ということです。
“ある人にとっての特別な存在”として他と比較されなくなることで、価格競争にも巻き込まれません。競争がなくなれば、必然的にビジネスが安定し、心も安定します。
特に個人でビジネスをされている方は、商品・サービスと自分との距離が近く、密接に関わっていますよね。例えば私がサントリーで酎ハイを担当していたときには、商品に思い入れがあったとはいえ、自分とは別人格として冷静に客観的に扱っていました。
それに対して、自分がつくった商品・サービスには思いが詰まっていて、自分とは切っても切り離せないもの。だからこそ、競争の中にいると自分自身が否定されたような気持ちになり、傷ついてしまうことも。
そんな不安定な状態から抜け出すためにも、ブランディングは重要です。ブランディングによって、他と比較されない自分だけの”聖域”が生まれると、穏やかな気持ちでビジネスを進められるようになります。
それが、ブランディングの最大のメリットであり、”自分らしく、自然体のまま売れる”ための礎にもなるのです。
おわりに
いかがでしたか?ブランディングとは一体何なのかという基本から、その必要性、得られるメリットまでを解説しました。
次回は、ブランディングについて注意するべき点や、ブランディングの捉え方について、その本質に迫りながら、より深掘りしていきます。